「核兵器禁止条約」初の締約国会議 日本政府はオブザーバー参加すら拒否

ロシアによるウクライナ侵略で核兵器が使用されることへの懸念が高まる中で開かれた、核兵器禁止条約の初めての締約国会議は、「核なき世界」の実現を目指す「ウイーン宣言」と、具体的な取り組みをまとめた「ウイーン行動計画」を採択して閉幕した。日本政府はオブザーバー参加すらしなかった。(和歌山信愛女子短大副学長 高橋宏)

6月21日から23日、オーストリアのウイーンで核兵器禁止条約(核禁条約)の第1回締約国会議が開かれた。核禁条約には86カ国・地域が署名し、66カ国・地域が批准(6月29日現在)しているが、そのうち、締約国・地域とオブザーバー参加を合わせて80カ国・地域以上が会議に参加した。日本は、アメリカの「核の傘」に依存していることなどを理由に、未だに署名せず、核禁条約に背を向けたままだ。

だが、オブザーバー参加した国の中には、日本と同様にアメリカの「核の傘」の下にある北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツ、ノルウェー、オランダ、ベルギーの4カ国の他、日米印とともに「クアッド」を構成するオーストラリアもいた。国連における核禁条約の採択に大きな役割を果たした「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のフィン事務局長は「唯一の戦争被爆国として核廃絶に向けた『橋渡し役』を自任しながら、オブザーバー参加すらせず、ボイコットする日本政府はどうやって橋渡し役を務めるのか」と指摘したが、返す言葉もない。

核兵器禁止条約の制定交渉会議の様子(広島市のホームページから)

 

日本では被爆者をはじめ、せめてオブザーバー参加するべきとの世論が多数を占めていたはずだ。その声に押されてか、締約国会議の前に開かれた「核兵器の非人道性に関する国際会議」には被爆者2人を含む代表団を日本政府は送っている。外務省が、締約国会議に参加する学生団体を「ユース非核特使」に任命もした。本会議には広島、長崎の両市長も出席した。だが、それは世界の人々に日本政府と、自治体や被爆者との間に大きな温度差があることを示したに過ぎない。

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「核兵器の非人道性に関する国際会議」で日本政府代表団の一員として出席した日本原水爆被害者団体協議会の木戸李市事務局長のスピーチには怒りが込められていた。「日本政府は多数の国民の願いに反して核禁条約に署名・批准していません。これは、戦争と武力行使を永久に放棄する憲法に反する政策です」

締約国会議は「核兵器は人類の存亡に深刻な影響を与える」と強調した政治宣言を採択して閉幕した。締約国の今後の方針をまとめた50項目の行動計画も併せて採択された。先頭に立つべき日本政府は蚊帳の外にいる。

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