「核が抑止力になる」幻想振りまいた安倍元首相と無責任な政治家たち

唯一の被爆国でありながら「核兵器禁止条約」初の締約国会議へのオブザーバー参加すら拒否した日本政府。国内では「核共有」を求めることが上がっているが、その先頭に立っていたのは凶弾に倒れた安倍元首相だった。(和歌山信愛女子短大副学長 高橋宏)

被爆地・広島出身ということで「核兵器のない世界」を目指すと公言する岸田文雄首相だが、多くの人々の声に応えず、「核兵器禁止条約」初の締約国会議へのオブザーバー参加すら見送った。世界に恥をさらした日本政府だったが、ロシアのウクライナ侵略に乗じて国内では核廃絶どころか、アメリカとの「核共有」を求める声が上がり始めている。その先頭に立っていた政治家が、7月8日に凶弾に倒れた安倍晋三元首相である。

核禁条約は2013年から具体的な議論が開始され、17年に国連総会で賛成多数で採択、20年に批准国が発効に必要な50カ国に達した。この間、一貫して背を向け続けた日本政府のトップが安倍元首相に他ならない。20年に首相の立場を投げ出して以降は、講演などで言いたい放題であった。最近は、核兵器を国内に配備して、日米共同で運用する「核共有」について議論すべきだと強調するに至っていたのである。

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それに乗ずるかのように、日本維新の会の松井一郎代表は「非核三原則は昭和の価値観であり、今議論すべきは当然だ」と主張。

日本維新の会の松井代表

また、国民民主党の玉木雄一郎代表は「原子力潜水艦を日本が保有するなど、適度な抑止力を働かせていくことを検討すべきだ」と訴える。核が抑止力になるというのは幻想で、脅しの手段や攻撃・制裁の口実にしかならないことは、ロシアのプーチン大統領の姿勢などではっきりした。にもかかわらず、戦後日本が憲法に基づいて自らを律してきた核をめぐるタガを、外すような放言が堂々とされているのである。

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