旧統一教会と政治家 公安捜査の対象外に

安倍元首相が銃撃された事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)への恨みから凶行に及んだとみられる。不安をあおり、壺や印鑑を高額な値段で売りつける「霊感商法」が社会問題化したのは1980年代だったが、被害は今も続いていたのだ。保守系政治家との持ちつ持たれつの関係も垣間見えてきた。(矢野宏)

山上容疑者が事件の前日、旧統一教会を批判するブログを運営する男性に送った手紙がネット上で公開されている。「私と統一教会の因縁は約30年前にさかのぼります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産……。この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言っても過言ではありません」と強い恨みが記されている。

元信者はこの壺に200万円払ったという

 

一方で安倍元首相については「本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」とつづりながらも、「安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」とある。

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ここ数十年、旧統一教会の霊感商法に関する報道はほとんどなかったが、全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士は「分派して多少下火になったとはいえ、今もやっていることは変わっていない」と指摘する。

1987年の結成以来、寄せられた相談の被害総額は1237億円超。7月11日に記者会見した家庭連合の田中富広会長は、2009年に法令順守を表明してからは「献金トラブルはない」としたが、同年以降の被害相談だけでも175億円を超えるという。

加納弁護士は山上容疑者について、「大学進学もできなくなるなど、献金に苦しむ家庭はよく見るケース。教会に『未来を奪われた』と感じても無理はない」と語る。

統一教会は、故・文鮮明氏が1954年、韓国で創設した。当初の名称は「世界基督教統一神霊協会」。59年には日本にも設立された。80年代から多額の献金や、先祖供養などを名目に壺や印鑑などを高額で売りつける霊感商法が社会問題となり、92年に歌手の桜田淳子さんらが韓国での合同結婚式に参加したことは大きな騒ぎになった。

2009年には旧統一教会の霊感商法に対して、警視庁が強制捜査を実施。幹部らが特定商取引法違反で有罪判決を受けたが、安倍政権下の15年に名称変更が許可されている。背景に政治家の関与があったのではないかとみられている。

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加納弁護士が注目しているのが「治安フォーラム」。日本の治安情勢の情報誌で、旧統一教会について『反社会的活動を続ける統一教会の実像』を連載するなど、取り締まりが強化されていたにもかかわらず、その後、公安の対象から外れた。「政治家には宗教団体の金と人は魅力的。政治家が関係を断ち切れなければ警察は動けません」

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