ドキュメンタリー映画「Blue Island憂鬱之島」自由への闘い 香港の歴史

香港が中国に返還されて25年。「一国二制度」の理念は形骸化し、自由が失われつつある。その香港で、自由を求める人々の闘いの歴史を描いたドキュメンタリー映画「Blue Island 憂鬱之島」が大阪市北区のシネ・リーブル梅田などで上映されている。1987年生まれのチャン・ジーウン監督は「香港に関心を持ち続けてほしい」と話す。(新聞うずみ火 栗原佳子)

チャン監督は2016年、初の長編ドキュメンタリー「乱世備忘」で雨傘運動の若者たちを追いかけた。2作目の長編「Blue Island 憂鬱之島」は香港人のアイデンティティとは何かがテーマ。その時代の若者の精神や展望に大きな影響を与えた「文化大革命」(1966〜76年)、親中派による反英抵抗運動「六七暴動」(67年)、「天安門事件」(89年)という三つの事件をクローズアップした。

生まれ育った香港を拠点とするチャン監督。「香港に関心を持ち続けてほしい」=大阪市北区

 

 

主人公の一人は74歳の男性。文化大革命を前に、中国本土から香港に泳いで逃れた。運命に翻弄されることなく粘り強く生きてきた彼は、今もビクトリア湾で泳ぐことを日課としている。

71歳のビジネスマンは、イギリス植民地下で起きた六七暴動で投獄された。共産主義寄りの文芸誌を配布したのは16歳の時。若き日の純真な心を悔やむ。54歳の男性弁護士は学生の抗議運動支援のため北京に赴き、天安門事件に遭遇した。トラウマに苦しむ彼は今、雨傘運動の若者たちのために奔走する。

再現シーンを演じたのは2019年の民主化デモに参加した若者たち。現在と過去の運動の当事者の思いが混ざりあい、香港の現在を浮かび上がる。「歴史が繰り返されることを見せようと思いました。単に再現された歴史のドラマではなく、彼ら自身が困難に直面している現実と重ねてほしかったんです」とチャン監督。

映画のワンシーン。74歳の男性はビクトリア湾で泳ぐのが日課Ⓒ2022Blue Island project

 

 

20年6月に国家安全維持法が施行。中国に批判的な論調の日刊紙が事実上の廃刊に追い込まれるなど、香港では民主主義を支える言論の自由も失われ続ける。タイトルの「ブルー」は「香港の街が感じている憂鬱」。この作品が香港で公開される目途は立っていないという。

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「歴史的に見て、香港人は自ら運命を決めたことは一度もありませんでした。いまの政府も私たちが選んだ政府ではありません。出演者には私の友人も多く含まれていますが、刑務所に放り込まれたり、亡命したりした人もいます。でも香港人の多くは諦めていません。勇気を持って頑張っていかなければと考えています。そんな香港人のことをどうか忘れないでほしいです」

映画のワンシーンⒸ2022Blue Island project

 

シネリーブル梅田、京都シネマ、東京・ユーロスペースで上映中。全国で順次上映。

 

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