安保法違憲訴訟・大阪 原告敗訴、憲法判断避ける

「司法は憲法擁護義務を果たせ」と書かれたプラカードを掲げ、大阪地裁前で抗議の声が響いた。「不当判決を許さないぞ」「戦争法は憲法違反、無効だ」ーー。集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は憲法違反だとして大阪在住の戦争体験者ら992人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(三輪方大裁判長)は2000年1月28日、請求を退けた。         (新聞うずみ火 矢野宏)

 

大阪地裁に提起された主な裁判は二つ。安保保障関連法に基づく自衛隊への出動命令などを差し止める行政訴訟と、「戦争ができる法を施行したことで国民が平和に生きる権利(平和的生存権)や人格権が侵害されて精神的苦痛を受けた」として1人当たり1万円の慰謝料を求めた国家賠償訴訟。

大阪地裁前で「不当判決」の紙を掲げる弁護士と原告ら

 

 

午後3時、2201号大法廷は満席。三輪裁判長は自衛隊の出動差し止めの訴えに対し、「自衛隊派遣を差し止めるような事態が起きていない中での請求は、内容を判断するまでもない。行政訴訟の対象となる『公権力の行使』に当たらない」などとして不適法と判断、却下した。

 

平和的生存権の侵害について、三輪裁判長は「平和とは抽象的な概念で、個人の思想や信条で多様な捉え方が可能」と指摘。「平和的生存権は国民に保障された具体的な権利とはいえない」などと切り捨てた。

 

また、人格権の侵害に対しては、原告側に「不安と憂慮があるのは認めるが」と配慮を示しながらも、「(安保保障関連法が施行されて)4年たっても武力攻撃の危険性はない。不安や苦痛については具体的な侵害ではなく、受忍限度の範囲内のものであり、法律上保護されるにはいたらない」などと述べ、国家賠償請求を棄却した。

 

安保保障関連法が合憲か違憲かについても「具体的な権利の侵害があったとは認められない」として、19年11月の東京地裁判決と同様、判断を避けた。

 

判決後、弁護士会館で開かれた説明会には原告ら200人が出席した。弁護団長の冠木克彦弁護士は「残念というよりあまりにひど過ぎる判決だった」と切り出し、「憲法判断回避の原則を忠実に守った後ろ向きの判決であり、日本全体が忖度社会になった」と語った。

 

原告代表の服部良一さんは「憲法9条が壊されていくような局面で、司法が触れないのは許されない。控訴して高裁ではきちんとした判決を求めていきたい」と訴えた。

 

弁護士らでつくる「安保法制違憲訴訟の会」の呼びかけで、同様の訴訟は東京・大阪を含む全国22地裁で起こされており、原告は7704人に上る。いずれも請求を退けた札幌地裁、東京地裁に続く3件目の判決となった。

 

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