
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。「医療非常事態宣言」が出た大阪府では重症病床の運用率が8割を超え、救急の受け入れ制限やがん病棟などの閉鎖を余儀なくされる病院も続出している。一方、府は2021年11月27日から大阪市北区と中央区の接待を伴う飲食店や酒類を提供する飲食店などに午後9時までの営業時間短縮を要請。12月16日からはそのエリアを市全域に拡大した。とりわけ、西日本最大の歓楽街である「ミナミ」は3度目の時短要請。年の瀬に悲鳴と落胆のため息が上がる。(新聞うずみ火 矢野宏、栗原佳子)
人影もまばらな昼のネオン街。立ち話をする人たちの脇を通り過ぎると中国語やスペイン語などの外国語が聞こえてくる。大阪市中央区島之内。ミナミの繁華街に隣接するこの地区は住民の約3割が外国籍だ。
その一角、雑居ビル内の一室ではロの字型に並べた長テーブルにパンや米、肉、卵、缶詰などが積み上げられていた。クリスマスを控えた12月20日の日曜日、島之内で外国にルーツを持つ子どもたちの支援団体「Minamiこども教室」と子ども食堂「しまルーム」が行った食材配布だ。
新型コロナによる不況は、非正規労働の比率が高い外国人の家庭により厳しく押し寄せている。こども教室に通う子どもたちの保護者の多くがミナミの飲食店で働いており、母子家庭も少なくない。
「3月以降、まともに営業を続けられない状態が続き、保護者たちの収入は激減しました。6月に入り、コロナの第1波が弱まって営業を再開したお店も増えましたが、第2波の8月に再びミナミでは営業自粛要請がありました」
そこからようやく回復できそうだと思った矢先のこの第3波だった。

外国人家庭に食材を配る金さん(中央)=大阪市中央区島之内
「ひっ迫した状況で迎えるクリスマスです。特にフィリピン人とっては特別な日。少しでも心温まるクリスマスになればいいのですが」と在日コリアン3世で、こども教室実行委員長の金光敏(キム・グァンミン)さん(48)。
市民から寄せられたカンパで、食材100セットを用意したという。この日はフィリピンやベトナム、ブラジルなど様々な国籍の105家族が訪れた。ボランティアらと「メリークリスマス」と笑顔であいさつを交わし、袋いっぱいに食材を持ち帰っていく。