第3波 ひっ迫する医療現場 大阪 止まらぬコロナ死

新型コロナウイルス感染の急拡大で緊急事態宣言が発令された大阪府では、死者数が東京を上回る水準で推移。医療体制もひっ迫している。全国初のコロナ専門病院になり、これまで700人の患者を受け入れてきた大阪市立十三(じゅうそう)市民病院(淀川区)も綱渡りの運営が続き、医師や看護師の疲れはピークに達している。(新聞うずみ火 矢野宏、栗原佳子)

「医療現場は必死で、余裕もありません」

十三市民病院の三田村将光事務部長はそう話す。

「看護師の中には家族への感染リスクを減らすため、月決めマンションやホテルなどで暮らしている人もいます」

十三市民病院は地方独立法人「大阪市民病院機構」が運営。18の診療科を持ち、263床ある結核の指定医療機関で、地域医療の拠点だった。緊急事態宣言下の2020年4月14日、松井一郎市長が中等症のコロナ専門病院にすると表明。外来診療や手術などを順次止め、約200人いた入院患者を転退院させた。一方、コロナ患者受け入れのため、結核病棟に加え一般病棟も改修してコロナ専用の病床を90床確保した。

それから約9カ月。現在の受け入れ可能病床は70床。三田村さんは、現状では限界だという

「理由の一つが大量離職です。昨年4月からこれまでに医師10人、看護師・看護助手ら22人が病院を去りました。『専門分野で自分の腕を磨きたい』という医師、高齢の両親や夫の介護などで退職された看護師もいました。コロナが長引けば職員は減っていきます」

■看取り患者急増

もう一つが「看護師の負担」が増したことだ。

2021年1月18日現在、同病院の新型コロナ入院患者は64人。このうち70歳以上が85%、80歳以上が65%を占めるという。

「入院患者の多くが認知症や寝たきりの人たちで、食事や生活の介助をする必要があります。感染者の病室には家族も清掃業者も入れないので、掃除やこまごまとした身の回りの世話もしなければならない。看護師1人で5人の患者さんを見ていたのが、3人しか見られない。しかも、夜勤は人手が少なくなりますから、10人近い患者さんを見ることもあります」

府内では2020年10月10日以降の「第3波」で、高齢者施設や障害者施設、医療機関でのクラスター(感染者集団)が120カ所以上で発生。重症化リスクの高い高齢者を中心に約2700人が感染した。

閑散とした待合室=十三市民病院

 

同病院も第3波で入院患者が急増。松井市長は2020年11月25日、「90床を活用できる体制に移行する」とした。現在、大阪市大病院から非常勤で医師8人、市立総合医療センターから看護師15人の応援派遣を受けて急場をしのいでいる。なお、総合医療センターは、派遣のために、思春期から30代までのがん患者を受け入れる「AYA世代専用病棟」の一時閉鎖を余儀なくされている。

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