森裕之・立命館大教授に聞く 「都構想」百害あって一利なし

維新がこだわる「都構想」とは何か。万博誘致やカジノとの関連は。地方財政の専門家で、維新政治をウオッチしてきた立命館大学の森裕之教授に聞いた

大阪市を廃止して四つの「特別区」に分割するというもの。大阪市がバラバラにされ、財源や権限が府に吸い上げられます。つまり、市民が払っている税金は4分の3が府の税金になるのです。一応、吸い上げた税金を特別区にも戻すことになっていますが、その額を決めるのは府議会です。市選出の府会議員は3分の1に満たないので発言力は低い。ちなみに、東京都議のうち7割は23区の選出です。

2015年5月の住民投票では、市を5分割にする案でした。いまは4分割案。維新は「バージョンアップ」と言ってます。例えば、5分割を2分割にするなら「お金がかからない」という利点がある。

逆に15分割にして「より住民に身近な行政サービスを行う」というのならまだわかりますが、単に一つ減らして偶数にしただけ。

それに、特別区はそれぞれ別の自治体です。例えば、A市が金持ちで、貧しいB市に税金を回すとしたらA市の市民は納得しますか。

特別区の間でそれが起こることが、前回は「法定協議会」(特別区の区割りや事務分担などを定めた「都構想案」=協定書をつくる機関)の資料ではっきり出ていました。どの特別区が赤字で、黒字の特別区はどれくらい持っていかれるか、など。ところが、今回の法定協議会の資料にはこの部分がない。担当者に「隠しましたね」と言ったら苦笑いしていました。これが、維新の言うバージョンアップの姿ですよ。

なぜ、「都構想」にこだわるのか。橋下徹さんは知事になって、府の権限が少ないことに気づいたと思います。それなのに、警察や教職員など、府は人件費がかかる。それでいて政策的に使える予算は少ない。市の方が上ではないかと考えたのでしょう。

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