「安倍国葬」は改憲・軍拡への一里塚 岸田首相の真の狙い

「国民に丁寧に説明する」と臨んだ今月8日の閉会中審査で、岸田首相はなぜ「安倍国葬」を実施するのか、四つの理由を挙げた。「歴代最長の政権を担った」「多くの業績を残した」「諸外国が弔意を示している」「選挙運動中に銃撃されたことから国として民主主義を守る姿勢を示す必要がある」。いずれも丁寧な説明ではなく、ただの繰り返しだった。「安倍国葬」にこだわる岸田首相の狙いは何か。和歌山信愛女子短大の伊藤宏副学長が斬る。(新聞うずみ火編集部)

 

安倍晋三元首相の国葬が強行されようとしている。選挙の最中に、暴力によって人命を奪った行為は断じて許されるものではない。民主主義社会において、あってはならない凶行であった。だが、法的根拠もなく国会での議論もないまま、閣議決定のみで国葬を行うこともまた、民主主義社会における蛮行であろう。

岸田文雄首相は、安倍元首相が死去したわずか6日後の7月14日に、国葬にすることを表明した。これまで、なかなか物事を決められない印象が強かった岸田首相とは思えない、即断即決である。国葬に反対や疑問を呈する世論の高まりの中、様々な理由を並べたててきたが、いずれも後付けの感が否めない。そもそも、安倍元首相がなぜ国葬に値する人物なのか、納得のいく説明がない。

街頭に立ち、手書きメッセージで国葬反対を訴える市民=9月18日、大阪府豊中市

 

連日ニュースとなっている旧統一教会問題と五輪汚職問題にも深く関わってきたのが安倍元首相だ。森友学園問題、加計学園問題、桜を見る会問題などの疑惑について、全く説明責任を果たしてこなかったのも安倍元首相だ。

そのような人物を国葬にするならば、ほぼ同時期に行われるイギリスのエリザベス女王の国葬と比較され、世界に恥をさらすことになるのは間違いない。歴史にも、大きな汚点を残すだろう。

それでもなお、岸田政権が国葬を強行しようとするのは、安倍元首相を追悼するためではない。旧統一教会や日本会議、限られた資本家や権力者などが安倍元首相に求めてきた社会に、日本が突き進むことを正当化する儀式にしたいのではないか。国葬の強行は、岸田首相が「聞く力」をかなぐり捨て、安倍元首相を神格化することで、改憲を手始めに日本社会を変貌させていく足がかりになるだろう。(和歌山信愛女子短大副学習 伊藤宏)

 

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