「維新に対抗するにはファクトに基づく批判を」ノンフィクションライターの松本創さん講演

大阪維新はなぜ強いのか。関西メディアだけの責任なのか――。清潔な堺市政を取り戻す市民1000人委員会主催の市政チェック学習会が5月4日、堺市堺区のサンスクエアホールであり、「誰が『橋下徹』をつくったか」の著書でノンフィクションライターの松本創さんが「維新を勝たせる心理と論理」と題して講演した。維新に対抗するための課題として、松本さんは「主張や理念ではなくファクトに基づく批判を」と訴えた。(新聞うずみ火 矢野宏)

維新をめぐる在版メディアの問題について、松本さんは「読売新聞大阪本社と大阪府との包括連携協定」と「毎日放送のトーク番組に、日本維新の会を創設した橋下徹氏と現代表の松井一郎大阪市長、副代表の吉村洋文大阪府知事がそろって出演した問題」を取り上げ、それらの背景に「新聞の発行部数が激減していることとテレビの若者離れがある」と指摘。「権力にすり寄る強者への迎合とともに、ジャーナリズム意識の希薄化があるのではないか」と投げかけた。
「吉村人気」に象徴されるような維新報道、とりわけ在版テレビ局の問題は根深いとしながらも、松本さんは「維新人気はメディアの産物という説明はわかりやすいが、多様で複雑な問題を単純化し、原因を一カ所に求めることはかえって本質や構造を見えなくし、危険である」と訴えた。
維新が躍進した昨年の衆院選で、松本さんは維新支持者の声に耳を傾けている。
「私たちと同じ目線・感覚で話してくれる。具体的でわかりやすい」(40代女性)
「身を切る改革に共感。維新は言うだけじゃなく実行している」(70代男性)
「以前は立憲民主に投票したが、反対ばかりで嫌になった」(50代主婦)
こうした声の裏側には維新の実績があると、松本さんは見ている。

「文書交通費などの既得権益批判、私学無償化や給食導入など身近な改革、府下の首長17人と地方議員242人を選挙に総動員するなど組織の足腰の強さがあるなど、大阪の政治行政を10年にわたって握ってきた強みだ」
また、松本さんは関西大の坂本治也教授の「政党イメージ」調査と分析を紹介し、「驚いたことに『経済的弱者の味方になってくれるのは』との問いかけに対し、維新が12・2%でトップ、共産11・2%、自民10・2%でした。『一般人の感覚に近いのは』でも維新22・3%、自民12・0%、公明7・0%だったのです」
維新に対抗するための課題として、松本さんは「コロナ禍や万博後を見据えた長期的社会像を示すこと。今ある組織や構造を単に『守る』だけでなく、より良い方向へ『変える』構想も必要ではないか。来年春の大阪府知事・市長・府議会・市議会の一角を崩すこと。賛成3割、反対3割とすれば、その中間に4割の無党派・態度未定層がいる。世論を動かすには、その層に主張や理念ではなく、ファクトで働きかけることが大事ではないか」と訴えた。

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