ロシアのウクライナ侵攻で遠のく北方領土問題(上)

ロシアのウクライナ侵攻に反対する人々

戦前、国後島、択捉島、色丹島、歯舞諸島に暮らした高齢の元島民たち。ウクライナの人たちの窮状にかつてソ連に追われた日を重ねながら、ロシアが中断してきた平和条約交渉を案じる彼らを訪ねた。(フリージャーナリスト 粟野仁雄)

「千島歯舞諸島居住者連盟」の河田弘登志副理事長(87)は戦前、歯舞群島の多楽島(たらくとう)で祖父、父母と妹2人、弟1人の7人で暮らした。

「1945年9月初めに父と祖父が不在の家にソ連兵が土足で上がり込み、銃で天井をついて武器を隠していないか調べていた」

彼らは「トッキ」「トッキ」と腕時計を欲しがった。

「母はとっさに割烹着の腕の上の方にゴムバンドの腕時計をたくし上げて隠しました」

叔父と一足先に北海道に帰り、両親は2年後に強制送還でサハリン経由で帰った。

53年から根室市でサケマス漁をしていたが、市職員に。主として領土対策を担当、キャラバン隊を組み、全国で啓発活動してきた。

「56年の日ソ共同宣言の時は歯舞、色丹が返ってくるぞと提灯行列ができました。当初から4島を返せ、ではなかった」

「エリツィン大統領の時は島が返るかと期待したが反故になった」と河田さん。エリツィン大統領は97年11月、橋本竜太郎首相と「2000年までに領土問題を解決し平和条約を結ぶ」と約束するが、高齢で退陣し、立ち消えた。

ウクライナ侵攻による日本の経済制裁に反発したロシアが平和条約交渉の中断を伝え、ビザなし交流や自由訪問は絶望的に。

「今年は自由訪問に多楽島が入っていて早速申し込んでいました。2年間、コロナで中止されていたので楽しみだったのに」と言葉もない。なぜか中断してきた交渉の項目には墓参が入っていない。

「墓参は大丈夫なのか」と心配そうだった。

 

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