「沖縄復帰50年なのに…」原告は控訴へ「琉球遺骨返還請求訴訟」(下)

琉球遺骨問題

原告には返還請求権がないと請求が棄却された「琉球遺骨返還請求訴訟」。旧帝大の遺骨をめぐる訴訟は全て返還を前提に和解で終結しているのに、司法判断は初めてだった。今年は沖縄復帰50年、原告の一人で判決直前に急逝した衆院議員の照屋寛徳さんに勝利報告はならなかった。(新聞うずみ火 栗原佳子)

明治政府は政府は1869年、アイヌモシリに開拓使を置き、95年に台湾割譲、1910年には韓国を併合した。帝国の版図が広がると共に行われたのが旧帝大人類学者による優生学的な人骨収集だった。京都帝大も北海道、沖縄・奄美群島から多数の遺骨を運び出した。原告代理人の丹羽雅雄弁護士は訴訟の意義を「国家による琉球・沖縄への植民地支配と戦後も続く植民地主義、研究・学問という名の『学知の植民地主義』の本質を問う訴訟」と強調してきた。

 

また、2007年の国連総会で「先住民族の権利宣言」が採択され、先住民族が旧植民地時代に収奪された遺骨の返還を求める動きは世界的な潮流となった。日本でも文科省が「12大学に1676体のアイヌ民族の遺骨が保管されている」と発表した。北海道でアイヌ民族の遺骨返還訴訟が相次ぎ、北大は相次いで和解、返還が進んできた。

国連は琉球民族を先住民族と認定し権利保障を勧告。原告は「ヤマトと異なる文化、社会構造を持つ先住民民族であり、権利として返還請求権を有する」と主張した。

判決は亀谷さん、玉城さんを第一尚氏の子孫と認めたものの、他の門中や子孫と同じ立場で「祭祀承継者には当たらない」などと返還請求を退けた。遺骨保管についても「ずさんとは認められず不法行為は成立しない」とした。盗骨かどうかの判断は示さなかった。

一方、増森裁判長は「原告らが琉球民族として祖先の遺骨を百按司墓に安置して祀りたいという心情には汲むべきものがある」と「琉球民族」いう表現を用いて付言。「関係諸機関を交え返還の是非や手順、時期、受け入れ機関等を協議し、解決に向けた環境整備が図られるべき」とした。

ただ付言は「学術的、文化的にも貴重な資料で利害関心を有する個人ないし団体は子孫ら以外にも複数存在する」とも言及した。例えば日本人類学会は19年、「古人骨は学術的価値を持つ国民共有の文化財」として返還せず研究継続するよう京大総長に要請している。当時、松島さんは学会に何通も抗議文を送ったが未だ返事はないという。

「今年は復帰50年だが、大学と裁判所は琉球人を人間と認めていない。私たちは文化や言葉だけではなく、土地も米軍基地に奪われ、遺骨まで返してもらえない」。会見に臨んだ松島さんは怒りで何度も言葉を詰まらせた。丹羽弁護士も「不当判決」と憤った。

原告は控訴する方針。判決直前に他界した照屋さんを追悼し、報告集会では在りし日の姿がスクリーンに映された。

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