「原告は祭祀承継者にはあたらず、請求権はない」と京大側が反論「琉球遺骨返還請求訴訟」(中)

遺骨訴訟

旧京都帝国大学医学部の人類学者らが、研究目的で琉球諸島の墓から多数の遺骨を収奪した。いまも26体を保管する京大を相手取り、子孫らが返還を求めた「琉球遺骨返還請求訴訟」。京大の関係者は法廷に一度も姿を見せなかった。(新聞うずみ火 栗原佳子)

「琉球民族は遺骨を親族の墓で埋葬し、先祖供養の儀礼で祖霊と交流して先祖と子孫の絆を強めてきた。遺骨は先祖のマブイ(霊魂)が宿るもので、『骨神(ふにしん)』として崇拝の対象。博物館の冷たい棚に置かれ、DNA調査で破壊される恐れがある遺骨を、我々のやり方で再風葬してマブイを供養したい」と松島さんは言う。

5人は遺骨の所有権を有する民法上の「祭祀承継者」にあたるとして、京大が遺骨を返還しないことで憲法20条の信教の自由が侵害されたと主張。少数民族の遺骨返還を求める権利を明記した国際人権法にも違反すると訴えた。

一方、京大側は「原告は祭祀承継者にはあたらず、請求権はない」と反論。遺骨所有は認めたものの、当時の県庁や県警察部長を通したという金関氏の随筆を根拠に、当初から「正当な手続きを経て『人骨』を収集したので盗掘ではない」と主張した。これに対し、原告側は「明治政府は1879年、独立国家・琉球王国に軍隊を派遣して解体、沖縄県として併合した。琉球併合後、警察を含む行政、教育関係の上層部の大半を日本人が占めた。日本人と琉球人の不平等な関係を利用して盗骨した」などと再反論した。

裁判所は和解を提案したが京大側は拒否、4年に及んだ訴訟の法廷に、大学関係者は一度も姿を見せなかった。

 

 

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