防衛ジャーナリスト半田滋さんに聞く「戦争終結」ロシアのウクライナ侵攻1カ月(3)

半田

防衛ジャーナリストの半田滋さんは東京新聞記者時代、防衛や軍事を30年に渡って取材してきた。ロシア侵攻について、「プーチン大統領は2010年に出した『軍事ドクトリン』で『NATOはロシアにとっての安全保障上の脅威』だと明言していた」と指摘する。(新聞うずみ火 矢野宏)

「NATOは冷戦時代、西側諸国がソ連の脅威に対抗するためにつくった軍事同盟。冷戦が終わった1991年、ソ連の崩壊とともに解散すべきだったのに、NATOと対立するワルシャワ条約機構に加盟していた東欧諸国やソ連を構成していたバルト3国などが加わった。2014年にはウクライナで革命が起こり、親欧米政権が成立。19年に就任したゼレンスキー大統領はNATO加盟を公約に掲げ、憲法にも努力目標として書き込んだ。ロシアから見れば、ウクライナのNATO加盟は秒読みに見えた。ウクライナが加盟した後に攻めればNATO軍との全面戦争になる。その前に、とプーチン大統領は考えたのでしょう」

ロシアにしてみれば、アメリカとの関係においても、弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)、中距離核戦略全廃条約(INF条約)と、旧ソ連時代に結んだ軍縮条約を次々と反故にされている事実も見逃せないという。

「そこにNATOの東方進出との『二段構え』で脅かされているという思いがあったのかもしれません」

ロシア軍撤退を求める声は広がっているが、戦争の終結は可能なのか。

参考記事:大阪日ロ協会理事長「プーチン大統領の誤算とは」ロシアのウクライナ侵攻1カ月(2)

「ロシアはウクライナの『非軍事化・中立化』を求めているが、プーチン大統領の狙いはウクライナに傀儡政権を作ることでしょうから、ゼレンスキー政権が倒れるか、経済制裁などでロシア国内でのプーチン退陣を求める声が高まり政権崩壊するか、そのどちらでしか戦争は終結しないのではないでしょうか」

 

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