ロシアのウクライナ侵攻 戦場となった原発(中)高まる原発事故のリスク

福島県の浪江町

ウクライナと聞けば、記憶に刻まれている地名にチェルノブイリがある。旧ソ連時代の1986年、チェルノブイリ原発4号機が核暴走を起こし、放射能で世界中を汚染した。福島第一原発事故が起こる前は、史上最悪の原発事故と言われていた。今は稼働していないものの、ここには事故炉に加えて使用済み燃料が保管されている。そのチェルノブイリ原発が、ロシア軍に占拠されたのだ。(新聞うずみ火編集委員 高橋宏)

さらに、ヨーロッパ最大級のザポロジエ原発(百万キロワット級の原子炉6基)が、ロシア軍に制圧される。原子炉を直接攻撃したわけではないが、稼働中の原発に砲撃が加えられたのは史上初だ。幸い、チェルノブイリもザポロジエも重大事故には至っていないが、原発が戦場となっているのである。原発だけではない。ハリコフの原子力研究施設もロシア軍の攻撃を受け、ウクライナ政府によれば施設の一部が損壊したという。

ニュース映像で映し出されるウクライナの避難民の姿は、11年前の福島からの避難民とぴったり重なる。大地震と大津波の被害から逃れる人々は、目に見えない放射能の危険にさらされながら、さらに過酷な苦痛を負わされた。ウクライナの人々もまた、戦火に見舞われたことに加え、原発事故の恐怖におびえなければならないからだ。戦闘が長引けば、原発を保守する人間の疲労も増すはずで、事故のリスクはどんどん上がっていく。万が一、重大事故が起こり、放射能が拡散してしまったら、避難民は帰るべき故郷を失ってしまうのだ。

プーチン大統領が今回の侵略を正当化する理由の一つに「ウクライナが核兵器の保有を意図している」ということがある。原発を稼働し続け、ウラン濃縮工場を持ち、再処理工場を建設し、46トン余りのプルトニウムを保有している日本にも、同様の口実が成り立つことを私たちは忘れてはならない。そして、原発への攻撃は核兵器と同等の被害をもたらすことも……。

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