ロシアのウクライナ侵攻 戦場となった原発(上)戦争は合法的な殺し合い

ほとんどのメディアが連日、ロシアのウクライナ侵攻を報じている。新型コロナウイルスに関連するニュースがかき消されるような勢いである。その侵略行為には核兵器や原発が見え隠れし、世界中が不穏な空気に包まれる中、11回目の3・11を迎えた。(新聞うずみ火編集委員 高橋宏)

 

東日本を襲った大地震・大津波は、史上最悪の福島第一原発事故を引き起こした。その結果、事故後11年経った今でも、復興庁が把握するだけで3万8000人余りの人々が故郷に帰れず、避難生活を続けている。事故処理も思うように進まず、「原子力緊急事態宣言」は未だに継続中だ。にもかかわらず、日本は原発の再稼働を続け、確実に事故前の社会に回帰しつつある。多くの人々を苦しめ続ける「原発震災」の教訓は、どこに行ってしまったのか。

 

教訓と言えば、人間はいつになったら戦争という愚かしい行為と決別できるのであろうか。武力で平和を維持できるという幻想から脱することができるのだろうか。今回のロシアのウクライナ侵攻は断じて許されるものではない。だが一方で、ウクライナもまた軍事力で対抗している。「国家を守るため」に、双方が合法的に殺し合いをしているのだ。その殺し合いに、多くの市民が巻き込まれて犠牲となっている。

 

あろうことかプーチン大統領は、核兵器の使用を示唆した。1月、米露英仏中の核保有国が「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」と確認する共同声明を発表したばかりであった。その舌の根も乾かぬうちに、当事者の1人が核兵器によって世界を威嚇したのである。

 

今後、戦況が泥沼化し、ロシアに対する国際社会による様々な制裁が強化されれば、プーチン大統領はどのような決断を下すのだろうか。国連のグテーレス事務総長は「核戦争が起こる見通しは、考えられない時期もあったが、いまでは可能性があるものに戻ってしまった」と語った。私たちは、1962年のキューバ危機以来、最大の脅威にさらされている。

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