検察の責任認めず 再審無罪 小6娘焼死の青木さん国賠訴訟(中)

怒りをぶつける青木惠子さん

大阪市東住吉区で1995年、当時11歳だった少女が焼死した火災をめぐり、殺人罪などで無期懲役が確定した後に再審無罪となった母親が捜査の違法性を問うた国家賠償請求訴訟の判決が大阪地裁で言い渡された。「虚偽自白をさせた警察の取り調べは明らかに違法」として大阪府に府償を命じたが、検察の責任は認めなかった。(ジャーナリスト 粟野仁雄)

 

本田裁判長は昨年11月に和解を提案したが、府も国も応じなかった。和解案は「青木さんは完全に無罪」とし、国と府に冤罪防止策を講じて和解金を支払うよう求めていた。『今でも犯人と思っている』という坂本証言を「到底採用できない」と、かなり踏み込んで青木さんに寄り添った内容だった。

代理人の加藤高志弁護士は「検察の国賠上の責任を認めず、強い怒りを感じる。警察の取り調べの違法性を認め、その被害が甚大で損害賠償の算定にも反映させたことは評価できるが、最大の関心は国の責任だった。検察官が起訴するまでに把握できなかったなどとしてその責任を認めないのは、警察が違法な取り調べをしても検察官は知らないふりをしていればいいと思われてしまう可能性があり、非常に問題のある判決だ」と指摘した。

記者会見で、「あれだけ立派な和解案を書いた裁判官が地方自治体は断罪しながら国を守る背景は?」と質問した。加藤弁護士は「和解案はパフォーマンスではなかったと思います。裁判長は青木さんに寄り添おうとしたはず。しかし、取り調べ報告書の開示について、本来なら公益の代表者として(検察が)出すべきとしていた決定を最高裁が覆した判断がある。最後は当時の法制度や最高裁の判例などに拘束されてしまった」と答えた。 事件発生以来、青木さんの弁護を務めてきた塩野隆史弁護士は「検察官の起訴の違法性について、最高裁の判例は非常にハードルが高い。青木さんの場合、検事調書がないこともあった。本件がどうだったのかの評価で最高裁判例を乗り越えられなかったと思います」と「裁判官の限界」を説明してくれた。

起訴した検察の責任を問われていた国は「警察が違法な取り調べを行ったとうかがわせるような報告は見当たらず、本人の意思による自白かどうかを疑うべき事情はなかった。住宅の焼損状況などから、青木さんが仮に自白していなくても放火に関わったと考えることが合理性を欠くとはいえない」などと主張していた。 判決について、大阪地検の八沢健三郎次席検事は「基本的には国の主張が認められたものと考えている」とのコメントを出した。

 

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