検察の責任認めず 再審無罪 小6娘焼死の青木さん国賠訴訟(上)

大阪市東住吉区で1995年、当時11歳だった少女が焼死した火災をめぐり、殺人罪などで無期懲役が確定した後に再審無罪となった母親が捜査の違法性を問うた国家賠償請求訴訟の判決が大阪地裁で言い渡された。(ジャーナリスト 粟野仁雄)

 

阪神大震災や地下鉄サリン事件が起きた1995年に大阪市東住吉区で当時11歳の小学女児が焼死した火事をめぐり、再審無罪が確定した母親の青木恵子さん(58)が国と大阪府に約1億4000万円の賠償を求めた裁判。大阪地裁の本田能久裁判長は3月15日、「虚偽自白をさせた警察の取り調べは明らかに違法」として府に1220万円の賠償を命じた。一方で、検察については「違法とまでは断定できない」と、国の賠償責任は認めなかった。

本田裁判長は「担当警察官(坂本信行刑事・退職)は青木さんに娘の写真を見せて助けられなかったことを責め続け、長時間大声を出して厳しく取り調べた。明らかに違法」と指摘した。

坂本元刑事は、青木さんとともに逮捕された内縁の夫が焼死した長女に性的虐待をしていたことを告げ、知らなかった青木さんを「母親の資格がない」などと責めたてた。

国賠訴訟で坂本氏が証人として出廷し、青木さんの前で「今でも犯人だと思う」と発言したことについて本田裁判長は「青木さんを傷つけただけでなく根拠のない誹謗中傷を招きかねない」と指摘した。

青木さんは記者会見で「坂本氏が私を傷つけたことは認めてもらったけども、国の違法を認めないとは思わなかった。裁判所が私を傷つけている」と述べ、「負けたような気持ち。検察は反省しておらず怒りしかない」と語った。

青木さんは裁判長に渡そうと思っていた手紙を破り捨てた。「支援者の人が悪く言っても私は『あの裁判官だけは違う』と言って信じてきた。和解案を書いてくれたことに感謝して手紙を書いたんです。今回、法廷で裁判長が私を見るのも腹が立った」とまくし立てた。青木さんはこれまでも筆者の取材に「今度の裁判官はよく話も聞いてくれる。絶対いい判決になります」と喜んでいた。

 

 

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