ロシア侵攻 原発制圧の狙い「熊取6人組」今中哲二さんが語る「戦争と原発」(上)

今中哲二さん講演

ウクライナに侵攻したロシア軍が原発を次々と占拠している。その狙いは何か。チェルノブイリ原発事故の調査でウクライナと関係が深い京都大原子炉実験所(現京都大複合原子力科学研究所)の元助教、今中哲二さんを講師に迎えた「うずみ火講座」が3月19日、大阪市北区のPLP会館で開講した。演題は「戦争と原発 ウクライナとロシア、チェルノブイリ原発」。今中さんは「戦争も原発事故も、被災者にもたらされた災難の大きさを測る測定器はない」と訴え、ロシア軍の早期撤退を求めた。(新聞うずみ火 矢野宏)

 

ロシア軍はウクライナへ侵攻した2月24日、チェルノブイリ原発を占拠した。チェルノブイリ原発は首都キエフの北約100キロで、ベラルーシとの国境に近い。旧ソ連時代の1986年4月に核分裂の制御に失敗し「史上最悪」と言われた爆発事故を起こした。

事故を起こした4号機は、コンクリートなどで覆う石棺と外側を覆う巨大なシェルターで、放射性物質の飛散を防ぐ対策が行われている。残りの3基も2000年までに順次閉鎖された。
「ロシアの全面侵攻はないと思っていたので、戸惑いました」と今中さんは振り返る。

ロシアのプーチン大統領は「ウクライナのNATO加盟を防ぐことが最重要」と繰り返していた。ウクライナは、ロシア系市民が多い東部のドンバス地域(ドネツク州とルガンスク州)で、ロシアを後ろ盾にした分離独立派と政府軍との間で武力衝突が続いている。内紛を抱えた国がNATOに入ることはできない。ウクライナをNATOに加盟させないためには、ドンパスでの紛争を続ければいいからだ。

今中さんはチェルノブイリ原発の事故後、影響調査のためウクライナを20回ほど訪ねたことがあり、キエフには今も交流がある原子力関係者ら知人がいるという。「友人の一人からメールの返信があり、『ベラルーシから南下したロシア軍がもう間近にいて何度も爆音がしている』と書かれていました。その後が心配です」

チェルノブイリ原発占拠について、ロシア側は「核テロの防止が狙いだ」と主張している。今中さんは「チェルノブイリ原発はすでに廃炉となっており、最悪の事態にはならないだろう」とみている。

「作業員がいなくなれば、危険な可能性はありますが、キエフを目指すなら北から入るのが一番近い。しかも、原発から半径30キロは立ち入り禁止区域だから人がいない。いわば、行きがけの駄賃のつもりでしょう」

ロシア軍は3月4日、ウクライナ南部にある欧州最大規模のザポロジエ原発を占拠した。その際、「ロシア軍の攻撃で出火した」という。
「原発を破壊するつもりはなく、あくまでも原発の制圧が目的。ウクライナの電力源のうち原発の割合は5割を超えるなど、依存度は高い。エネルギー面を押さえるのが狙いでしょうが、流れ弾が当たって大事故になる可能性もないとは言えません」

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