「心の支えになったのが娘たちの存在でした」障害者郵便制度悪用事件を振り返る村木厚子さん

大阪地検特捜部から連絡があった時、「きちんと説明すれば誤解も解ける」との思いで臨んだ取り調べだったが、厚生労働省の村木厚子局長(当時)に突き付けられた言葉は「あなたを逮捕します」だった。(新聞うずみ火 矢野宏)

身柄は大阪拘置所に移された。勾留期間は10日間。1回延長されて計20日間。それで起訴かどうか決まるのだが、検事から「あなたは起訴されるでしょう」と告げられ、こうも言われた。「僕の仕事はあなたの供述を変えさせることです」――。

「一生懸命説明して真相解明してもらおうと思っていたのに、検察がそういう姿勢だとわかり、誰が真相解明してくれるのだろうと考え込みました。検事さんにすれば、犯人だと思っているから逮捕する。逮捕すれば自白させたくなる。どうしても無理な取り調べをするし、自分たちのストーリーに当てはまる話は聞くが、都合の悪い話は調書に一文字も書こうとはしません」

冤罪事件を振り返る村木さん=2018年12月、MBSラジオ

取り調べの中で、心が折れそうになったことはなかったのか。

「心の支えになったのが娘たちの存在でした。将来、娘たちに困難に見舞われた時、『あの時、お母さんは頑張ったから、私も頑張れる』と思ってもらいたいと考えたら意外と大丈夫でした」

弁護士の言葉も支えになったという。

「取り調べは検事の土俵だ。プロとアマチュアが同じ土俵に上がるようなもので、弁護士というセコンドもいなければ、裁判官というレフェリーもいない。勝つのは難しいが、負けないようにしましょう。そのためにはうその調書だけは取られないように」――。

この事件で逮捕されたのは4人。村木さん以外の3人は検察側のストーリーを認めて保釈されたが、否認している村木さんだけが起訴後も勾留が続いた。その期間は164日間にも及ぶ。
裁判では、係長が村木さんとのやりとりについて、「でっち上げです。検察官の作文です」と証言。さらに、主任検事が証拠のフロッピーディスクの記録を改ざんしていたことまで判明。村木さんは10年9月に無罪判決が確定し、職場復帰する。

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