福島原発事故の避難者訴訟 最高裁、国の責任認めず 

6月17日、東京電力福島第一原発事故で避難を余儀なくされた福島県民など約3700人が国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟の最高裁判決が出た。国と東京電力を訴えた集団訴訟は全国で32件あるが、これまでに出た地裁、高裁の判決では国の責任を「認める」が12件、「認めない」が11件と二分されてきた。訴訟が先行していた福島、群馬、千葉、愛媛の訴えについて、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)の判断が注目されていた。(和歌山信愛女子短大副学長 伊藤宏)

 

 

「生業を返せ、地球を返せ」という横断幕を掲げて判決に臨んだ原告団だったが、結果は国の賠償責任を認めないという統一判断であった。その理由を、国が事故前の想定津波に基づいて東京電力に防潮堤を建設させる規制権限を行使しても「想定外」の津波で事故を防ぐのは困難だったとした。原告が訴えた防潮堤に加えた重要施設の浸水対策の検討については「事故の前に浸水対策などを定めた法令や知見はない」などとして退けた。裁判官4人のうち3人の多数意見による判決だった。

事故後の福島第一原発

 

 

この判決について、関西に「自力避難」している原発震災の被災者2人にコメントを寄せていただいた。

 

まず、『母子避難、心の軌跡―家族で訴訟を決意するまで』『災害からの命の守り方―私が避難できたわけ』などの著者で、郡山市から避難した森松明希子さん。判決について「不当判決だと思います。少なくとも多数意見の裁判官は、子どもたちや次世代には聞かせられないような不当で恥ずべき判断だったと思います」と怒りと悲しみをあらわにした。

 

そして「原発賠償関西訴訟」や「原発なくそう!九州玄海訴訟」の原告で、福島市から避難した加藤裕子さんは「国策で進めてきて、安全を長年アピールしてきた原発が事故を起こしたのです。多くの市民が避難を余儀なくされ、汚染がひどく二度と自宅に戻れなくなった人、汚染を気にしながらも居住せざるを得なかった人、避難先でいじめにあった人、前途を悲観し命を絶ってしまった人、因果関係はわからないとされるも、小児甲状腺がんをはじめとする様々な疾患が増えていることなど、たくさんの被害が存在するにもかかわらず、国への責任を問わない判決には違和感しかありません」とした。

 

判決理由について森松さんは「何もやっていなかったのに、やったとしてもできなかったから国に責任なしとした点は到底納得できません。事実も誤認しているし、そもそもそれはやれることをやった時だけ主張できます。『何もやらないでおいて、どうせやってもできなかった』というのは、子どもたちにいつも私は言い聞かせていますが、一番言ってはいけない言い訳、屁理屈です。まさか最高裁の判断理由がこれだったのには驚きと憤りを禁じ得ないです」と嘆く。

 

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