原発訴訟・最高裁判決 「不当で恥ずべき判断」避難者ら怒りと悲しみ

東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが、国に損害賠償を求めた四つの訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は6月17日、国の責任を認めない判断を示した。全国で約30件起こされている同種訴訟で、最高裁が統一判断を示すのは初めて。関西に「自主避難」している原発震災の被災者はどう受け止めたのか。

 

最高裁の今回の判決は、他の集団訴訟の今後の地裁や高裁の判断に大きな影響を与えることになるだろう。だが、「原発賠償関西訴訟」などの原告の一人、加藤裕子さんは「今年3月の最高裁判決では、東京電力の賠償責任を確定しましたが、国の賠償指針や東京電力の自主賠償基準の不十分さが明らかとなりました。まずは賠償指針の見直しが急務だと思います」と、裁判によって明らかになった課題に取り組んでいくつもりだ。

原発事故を伝える毎日新聞

 

 

福島県郡山市から関西に自力避難している森松明希子さんも「原発は国策です。国家権力による人権侵害という点で、被害の重大性を理解してほしい。被害実態を知らないのではないかと思わざるを得ないと感じました」とした上で「予見可能性も結果回避可能性もあった。万が一にも事故を起こしてはならない対策を考え、実際にそれをするのは国と事業者です。唯一の規制権限を持ち、国策で原発を動かす国の責任を問えないようにする今回の判断枠組みは説得力に欠けます。やるべきことをやっていなかった責任を、これからも追及します」と、決してへこたれてはいない。

 

裁判だけが国の責任追及の手段ではない。加藤さんは今「国内避難民の人権に関する国連特別報告者による訪日調査を実現する会」の活動をしている。「(判決の)報告集会でダマリー国連特別報告者の件が話されたように、今後は『国内避難民の人権』という新たな切り口からのアプローチも大事であると再認識しました」と加藤さん。

 

加藤さんは「福島の原発事故避難者は、国際社会で尊重されるべき『国内避難の指導原則』に反していると考えられ、こうした事実を明らかにするため、国内避難民の人権に関する特別報告者の訪日実現を目指しています。『避難は、影響を受ける人々の生命、尊厳、自由、安全に対する権利を侵害する方法で実施されてはならない』とする指導原則や、国際人権法を広く国内に広げたいという理由から関わっています」という。

自主避難してきた森松さん

 

今の司法について「被害の甚大性、不可逆性に見合った賠償や違法性の判断をきちんとしてもらいたい。子供たち未来世代に恥ずかしくない判断をしてほしい。国家からの基本的人権の侵害に対して積極的に司法の役割を果たしてほしい」と森松さんは願う。それを実現するためには、私たちが今回の判決についてただ憤ったり、嘆いたり、ましてや諦めたりしてはならない。「どう考えてもおかしい」「市民感覚とかけ離れている」と、積極的に物申していくことが求められているのだ。(和歌山信愛女子短大副学長 伊藤宏)

 

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