
「カジノの是非は大阪府民が決める」。21万筆を超える署名を集めた署名活動。市民団体は「もとめる会」は大阪府とカジノ事業者が実施協定を締結する前に、住民投票条例制定の直接請求を行う方針だ。「国に認定させない」運動は広がりを見せている。(新聞うずみ火 栗原佳子)
選管への署名簿提出を受け、吉村知事は記者会見でこう述べた。「今の時点で住民投票は必要ないと思っている。反対派の中心的なところは依存症対策だと思います。この依存症について正面から対応していく」
「もとめる会」共同代表の中野雅司さんは「議決を根拠に住民投票が必要ないというが、これだけの署名が集まったのは議決への不満や議決では決められないという府民の意思が理由。私たちは正当な手続きで住民投票での決着を求めているだけで府民を分断するような『反対派』という呼び方はやめてほしい。依存症対策というのも矮小化。大阪のIR区域整備計画には数多くの問題がある」と憤る。

署名活動の次のステップに向け、200人以上が思いを一つにした集会=6月19日、大阪市生野区
一方、府は4月下旬にIR区域整備計画を国に申請、認定の可否の判断は秋以降と見られる。これに対し、大阪IR計画に反対する「NO!大阪IR・カジノ」が6月20日、発足。呼びかけ人の大阪市議(自民)の川嶋広稔さん、前堺市議の野村友昭さん、元府副知事の小西禎一さん、NPO法人AMネット理事の武田かおりさん、REAL OSAKA代表で前八尾市長の田中誠太さんが大阪市役所で記者会見した。府内の企業や団体の賛同を募り、国に認定しないよう要望していくという。
川嶋市議は▽経済効果▽MICE(国際展示場)機能縮小▽莫大な公費負担の懸念と災害リスク▽直接請求署名で21万筆が集まるなど住民の合意形成がないーーなど問題点を列挙。「大阪の成長をこのIRカジノに託すべきではない。問題だらけの大阪IR計画を認めることは将来に大きな禍根を残す」と指摘した。 元副知事の小西さんは「経済効果があるから公的資金を投入するという。府も市もそうやって大型事業を進め手痛い失敗を繰り返してきた。後戻りできる状態なのにしなかった。大阪IR計画はいつか来た道。府民市民がもっと声を上げて、立ち止まれる状況を作る必要がある」と話した。